換気のヒミツ
国の法律改正の動きや補助金などにより高気密・高断熱仕様の住宅が増えたきています。
高気密空宅が増えると重要性が増すのが「換気」です。従来の住宅の仕様では、見えない場所に小さな穴(隙間)がたくさんありましたが、気密性能が増すとそういった隙間が無くなり、計画的に換気を行わないと室内で汚染された空気を入れ替えることもできなくなります。
なぜ、換気が必要なのか?
それは、端的にいってしまえば「法律で定められているから」です。
2003年に住宅の24時間換気が義務化され、家の空気を1時間に0.5回入れ替える機器の設置が必須項目となりました。 この時期に問題となっていた、ホルムアルデヒドなどのシックハウス問題は解消され、現在では換気の必要性を再定義されつつあります。
次のような代表的なメリットが挙げられます。
◆メリット
1.結露対策
3人家族における100-140㎡の居住スペースでは、1日平均10.65Lの水分を排出します。結露を放置すると、結露水が発生しカビの原因にもなります。建材の劣化にもつながり、住宅の寿命を縮めます。
2.カビ/ダニの発生
ダニの発生数と、換気システムの稼動には、相関性があります。換気装置を使用しない場合、ダニの発生率は急激な伸びを示します。逆に、換気装置を回し始めると、ダニの数は徐々に減少してゆくというデータがあります。
3.外部空気の影響
日本には、PM2.5や花粉といった外部からの有害物質が多く存在します。現在では、それら有害物質が室内に入らないよう、外の空気をフィルタリングして室内に取り込むという役割を換気が担います。
4.CO2濃度
私たちは、人生の90%を密閉された空間の中で過ごします。CO2濃度の上昇は、集中力の低下にもつながります。換気は、CO2濃度を低下させる事により、生活の質を向上させる役割を担います。
5.省エネルギー
先進の換気システムには、熱交換装置が付いており、部屋の温度を外に逃がしません。少ない電力でも、最大で90%の熱を回収するため、冷暖房負荷を大幅に減らし、光熱費を減らす事ができます。また、室内の温度変化が少なくなるため、冬場のヒートショック対策としても非常に有効な手段です。
なぜ義務付けられているの?
シックハウス症候群を防止するための対策
住宅の高気密・高断熱化に伴い、生活用品や建材に用いられた化学物質、高い温湿度によって発生したカビやダニ、また暖房・給湯器などから放出される一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などが室内を汚染し、それが原因で起こる健康被害を「シックハウス症候群」といいます。
シックハウス症候群を防止する対策としては、化学物質の発散量の少ない建材を使用するとともに、換気によって室内の化学物質の濃度を低減させることが効果的です。
このため、2003年に建築基準法が改正され、強制的に室内の空気を自動的に行うことを可能とした24時間換気システムの設置が義務付けられることになりました。
換気の種類
換気の種類
換気不足による弊害
建物の高性能化に伴い換気の役割が大きくなりました。
一般的な住宅の場合、45坪の家なら「ハガキ10枚分」の隙間が家中に散らばっているのです。およそ縦横40㎝×40㎝の面積の隙間が存在しています。この面積はエアコンの吹き出し口よりも大きな隙間になります。
また、高気密化によって第1種換気システムを採用されるケースが多くなり、大半の第1種換気はダクト式という装置で、天井内に掃除機のホースを太くしたような管を張り巡らせて各部屋の換気を行います。