ラピアスデザインでは【ハウスガードシステム】という構造体を複合的に長持ちさせる工法を取り入れています。
今回はその内容を詳しく説明します。
1.ハウスガードシステムとは
2024年5月時点で全国で149社が加盟し、1シリーズではなくその会社が施工する全棟がこのハウスガードシステムを採用した建物であることや、年間棟数、地域シェア率など様々な条件をクリアした工務店のみが採用できるシステムになっています。全国で累計完工棟数18,526棟の実績があります。また、このシステムを採用した建物でのシロアリ被害や腐れ被害が”0”という実績があります。
システムの内容としては以下の特徴があります。
● 腐らない柱「緑の柱」を構造体に使っている
● 一般工務店では入手できない錆びにくい金物を使っている
● 基礎内部の給排水などの貫通部にも薬剤処理を行っています
といった内容が特徴になっています。また、細かい決まりもありシロアリ被害や腐れを何重にも防ぐ対策を施しています。
私たちの考えは新築時に耐震等級3でも腐れやシロアリ被害にあってから地震などの災害が起こってしまうと、新築時の耐震性は発揮できなくなってしまいます。新築時の耐震性をいかに長持ちさせるかが最も重要だと考えています。
<過去の教訓>
日本の住宅は阪神淡路大震災から得た教訓があります。
日本建築学会近畿支部が1995年9月に発表した「1995年兵庫県南部地震 –木造建物の被害-」からの抜粋です。
木造家屋被害に対する構造部材の蟻害・腐朽による劣化の影響大阪市立大学生活科学部 土井正・宮野道雄・北本裕之パシフィックコンサルタンツ ㈱ 総合研究所 呂恒倹 (132ページ)3.5 東灘区の調査地域の蟻害・腐朽について本震災において、多くの緊急調査が実施され、マスコミ報道を含め、「老朽化」した木造家屋の倒壊が多く指摘されているが、主要耐力を受け持つ軸組み構造部材である木材について「老朽化」と一言で表現するのは適当ではない。木材の「老化」とは材質の長時間における物理化学的な変化であり、「朽」とは腐朽菌による腐朽やシロアリ等の食害すなわち生物変化に他ならない。木材の物理化学的な変化は紫外線や熱により促進されるが、きわめて反応速度は遅く、とりわけ屋根や内外壁で被われる構造部材においてはほとんど無視し得るものである。一方、腐朽菌やシロアリによる生物劣化は「老化」に比べて進行速度が著しく速く、また強度低下も大きい。多くの場合、その発生は前後するものの腐朽と蟻害は同時に同じ家屋に認められることが多い。
といったように、20年前に発表された結果からもシロアリ被害や腐れ被害が如何に建物にとって重大な被害をもたらすか分かっていました。
2.腐らない木「緑の柱」
耐久性が高いと言われている木材でも、お住まいの環境が悪いと木材は劣化します。
どんな環境でも劣化しない木材をつくりたい!
この想いを実現させたのが「緑の柱」です。
そのために、木材を守る薬剤の開発は1975年より研究開発を行っていました。
緑の柱は、腐らない
腐れ試験(室内)
腐朽菌が多い場所(床下、浴室、台所)を再現した大阪本社のファンガスセラー室を使い、ヒノキ材と緑の柱を設置してみました。その結果、腐朽菌による木材被害はヒノキ材のみに見られ、緑の柱への腐朽被害は見られませんした。
腐れ試験(野外)
筑波森林総合研究所の敷地に、ヒノキ材、緑の柱を設置してみました。過酷な環境である外に放置した結果、ヒノキ材は一年ぐらいでボロボロになっていましたが、緑の柱は29年経ってもまったく被害にあっていません。
緑の柱は、シロアリに食べられない
シロアリ試験(室内)
シロアリ飼育室を使い、ヒノキ材と緑の柱を設置しました。その結果、予想通りヒノキ材は食べられていましたが、緑の柱はシロアリが嫌う成分を入れているため、シロアリに食べられていません。
シロアリ試験(ディスプレイ)
シロアリの巣を想定した箱を作って実験しました。その結果、1週間でスギ材はシロアリに食べられましたが、緑の柱はひとかじりされただけで、その後は全く食べられていません。
3.錆びにくい金物
材料は劣化する
解体調査をした結果、このように錆ていました。木材を固定している金物が錆びてしまうと、万が一大きな地震が起きた場合にその効果は発揮されなくなります。
家の強度が低下する
木材を固定する金物の重要性
アンカー、ホールダウン、筋交いなど、すべて金物で止まっているため、接合部である金物が錆びれば、完璧な設計をしていても住宅の強度は落ちてしまいます。地震が起きたときに力を発揮してくれる筋交いも木材に止めているビスが錆びてしまえば、ビスが聞かなくなって住宅強度に大きな影響を与えてしいます。
錆びると木材を固定できない
A:合板から釘がほとんど抜けています
B:木材がしっかり固定されていません
どんなに良い木材を使っても、どんなに良い工法を使っても、このように釘や金物が錆びてしまうと、家の強度は低下してしまいます。
各素材の耐久性試験
金物の錆に対する耐久性試験
自動車の錆の試験などにも使われるCCT試験機を使って、一般的な金物とデュラルコートがどれだけ長持ちするかを試験しました。
(腐食促進試験:床下空間で約40年相当)
試験結果
一般的な金物は20年を超えてきたあたりで赤錆がどんどん出てきてしまいますが、デュラルコートの場合は、50年相当まで試験にかけても赤錆びが出始める程度で、長期間強さを保ち続けています。
デュラルコートを採用
デュラルコートHG
この錆に強い釘と金物を開発した株式会社カナイと協力し、デュラルコートHGという商品名でハウスガードシステムの家に利用しています。
ハウスガードシステムの考えである「新築の状態を保ちつづける」には必要不可欠な材料です。
4.基礎内の防蟻処理
基礎貫通の給排水管も対策
基礎を貫通する給排水管や水抜き穴など外部からシロアリの侵入を許してしまう可能性がある箇所には個別で薬剤を塗布し、侵入を防ぎます。
5.倒壊シミュレーション動画
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