構造のヒミツ
木造住宅の多くは、在来軸組工法と呼ばれる工法が多く用いられています。
この工法は、柱と梁で主要な構造部分を構成しています。
木造の種類
木造軸組工法は、柱と梁の軸組による構法です。
在来工法は多くのハウスメーカーや工務店が採用しており、昔から使われている長年の実績がある工法ですので、伝統工法と呼ばれる事もあります。
在来工法、木造軸組工法、伝統工法などいろんな呼び方がありますが意味は全く同じです。
木造軸組工法
◆メリット
-
ほとんどの建設会社ではこの工法のために部材類を豊富にそろえている。
-
近年では耐震性向上のために壁量を増やす傾向があるが、開口幅(出入り口の幅)が大きく取れることは変わらない。
-
一部を除いて将来の変更や改造が比較的容易にできる。
-
法規問題が解決しさえすれば将来においての増築も可能。
-
木の良さを表現するための真壁造り(柱・梁現し)ができる。
-
真壁造りにすることにより、木が持っている調湿効果を期待することができる。
◆デメリット
-
ツーバイーフォー工法などに比べると見積価格で大工の手間料が大きくなる。
-
適切な金物の使用による施工が為されれば耐震性能においてもツーバイフォー工法と比べても遜色はないが、揺れの大きさでは依然劣っている。
-
ツーバイフォー工法に比べて工期がかなり長くなる。
-
ツーバイフォー工法のようにシステム化されていないので、出来上がりの善し悪しが実際の施行にあたる大工の技術に大きく左右され品質にばらつきが出る。
-
通柱で断面欠損が大きくなり地震などの際に破断する恐れがある。
-
体力壁は、筋交いを用いるが地震などの際に破断する恐れがある。
木造枠組壁工法(2×4など)
ツーバイフォー工法は、既製サイズの角材で枠を作りそれに釘で合板を貼り付けて、さらにそれを組み立てていくという単純な工法で、大工や職人に高度な技術が求められないという特徴があります。
当時のアメリカはどんどん開拓地を広げていき、たくさんの建物を建てる必要があったものの熟練した職人が少なかったために、素人でも比較的習得しやすいツーバイフォー工法が広まったという時代背景があります。
◆メリット
-
枠組壁工法なので耐震性が優れている。
-
工法がマニュアル化されていて、パネルを立て込む方式なので工事期間が短く完成は早い。
-
気密性が極めて高い。
-
部材相互の密接度が高く、それが防火性と断熱性を高めている。
-
内部の空調管理が容易で省エネに優れている。
-
高度にシステム化・マニュアル化されている技術なので現場の大工さんに高度な技術が不要で品質が均一でムラが無い。
◆デメリット
-
耐震性が壁によって確保されているため、将来的な壁の撤去や貫通などはできず間取りの変更が困難。
-
木を露出したデザインを施したくてもパネルで面が構成されているので困難。
-
同じ理由で木による調湿が期待できない。
-
高温度の環境では気密性が高いので湿気が抜けず腐食の可能性がある。
シロアリ
シロアリの生態
日本に住むシロアリのうち、住宅に被害を与える主な種類は、イエシロアリ(最も加害が激しいと言われ木材ばかりではなく、コンクリート造の建築物に対しても被害を及ぼす)とヤマトシロアリ(土中や湿った多湿な環境を好む性質から被害は床下に多く湿気の多い建物では天井にまで被害が及ぶことがある)の2種類です。
地域別にシロアリの種類が違いますが、日本全国でみるとどこにでも生息しています。1月の平均気温が4℃を超える地域ではイエシロアリが、それ以外の地域ではヤマトシロアリが主に生息しています。一年を通してシロアリは全国各地で活動しています。
シロアリは床下から侵入する
シロアリは、主に床下や玄関周りから住宅に入り込んできます。シロアリによる食害は、日本全国どこにでも起こります。シロアリ被害が発生すると、木材強度が劇的に落ち込み、木材を取り替えるしか修復方策はありません。長期に渡り食害を防止するには、薬剤を加圧注入した木材で建てるハウスガードシステムがもっとも確実な方法といえます。
シロアリが蟻道を作って土台に侵入してしまうと、見た目ではわかりませんが、この写真のように中身が食べられてスカスカになり、重さも軽くなります。もしこの状態で地震が起きれば、という心配がなくすためにも、シロアリの侵入を防ぐことはもちろんのこと、万が一の時の対策として、シロアリに食べられない木材を使うことが大事です。
被害事例
地震の被害にあって半壊して初めてわかったことですが、土台の大事な部分がシロアリに食べられていました。
解体調査で床を剥がしたところ、木材がシロアリに食べられていました。普通に生活している床下にもシロアリが侵入しています。
階段の下にシロアリの被害が見られました。一度シロアリに侵入されてしまうと、さまざまな場所に被害が広がる可能性があります。